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雨、ロスト・イン・トランスレーション

朝から雨。
向こう一週間はこんな天気が続くという予報。土日に日に当たっておいてよかった。

昨日、初めていって、「もっと早く来ればよかった!」とおもったcafé paradisoにさっそくブランチをとりに行く。Tuscan Saladをいただく。
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十分、ボリュームがあって、味もしっかりついてておいしかった。

おやつには、先日の鍋でデザートに出たToscanini’sのアイス2種。一番小さいのでも多く感じた。
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店内はせまいけどかわいい。働いている人もみなさん、ミュージシャンみたいなかっこよさ。一緒に撮れるといいなあ、と思って「店内の写真撮っていい?」と聞いたら、「もちろん」と言うなり、すっと奥に隠れてしまった。こういう、ボストンの人の多くが示す、「アメリカ人らしからぬ」奥ゆかしさって、日本から直接くると馴染みやすいのかもしれないけど、私はまだ驚いてしまう。

図書館に戻ると、今週は春休みなので5時で閉館。あっという間に時間切れ。

家に帰る前に、近所の小さなスーパーで生パスタとpesto sauce(バジルとチーズを合わせたソース)を買う。初めて試したけど、めちゃくちゃおいしかった。濃厚すぎて、途中から胃がもたれそうになったけど。この美味さで二人で8ドルはお買い得。調理時間なんて2分弱だし。
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夫が借りてきた『ロスト・イン・トランスレーション』を観る。
かなり好みが分かれるようですが、よかったです。


*  *  * ちょっとネタバレあり注意 *  *  *


この映画がいいと感じるには、ある種の経験が必要なのかもしれない。
主人公二人のように、端から見たら羨むほど幸せなはずなのに、自分で手に入れたはずの居場所なのに、なんだかあまり、納得できない。かといって誰が悪いというわけでもないので、どこにも何もぶつけられない、そんな経験。

この映画は、よく、外国での不安がよく出ている、というように評されるようだけど、私にはそれはあまり重要なテーマではないように見えた。「日本という外国にいるせいで途方に暮れた」というより、外国で言葉が通じないという経験が意識にのぼって初めて、これまで、米国でも、家族とすら、言葉が通じているわけではなかったということに気づいて途方にくれる、というのが、より根源的なモチーフになっていると思う。

ふつうの映画だったら、ここで、代わりに幸せにしてくれる人や場所が現れてくれるんだけど、この映画にはそんなものは現れない。ただ、そのよるべなさの描きかたが丹念で慈愛に満ちているがために、同じような孤独を感じたことのある人に、ある種の希望が伝わるのだとおもう。


人類学くさい蛇足。日本人の描き方が、やはりまだ偏ってるのでは?という意見もあるようだけど、私は、まあ、許せる範囲だと思う。撮影クルーの多くが日本人だったこともあって、「日本人でも外国人のような目で見てしまう」エキゾチックな美とか、奇妙なお笑い芸人とかゲーセンを、日本人の鑑賞にも堪えるように撮っていると思う。

ついでにいえば、アメリカ人の描き方も日本人と同じぐらい偏っているため、総じてバランスがとれている。主人公たちも、脇役のアメリカ人も、けっして、かっこいいわけではない。日米どちらの人間にせよ、言葉とか、写真とか、演技とか、そんな曖昧で儚くて怪しいものを職業(にしよう)とする人たちの、傲慢さと、裏返しの自信のなさが、よく出ていた。
by chinaloca | 2005-03-28 04:22